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建築について

前の話:昔に比べて様々な機能が求められている中、建築にできることは何か

妹島さんにとってのSHIBAURA HOUSEの位置付け

I:最後に聞いてみたいのは、SHIBAURA HOUSEが妹島さんにとってどんな意味をもつのか、という点です。妹島さんにとっての位置付けを伺ってみたいです。

S: 公共空間であれ個人邸であれ、建物に入った時に、ひとつの連続性を感じられる空間を意識しています。住宅でもある場所にいて、家族全体を感じられたり、美術館でも中にいると全体を感じられるような。そういった意味ではオフィスビルはフロアごとに区切られてしまうので、それを感じられるのが難しい。SHIBAURA HOUSEはオフィスビルだけれど一体感があり、ビル全体に散らばる人の気配を感じられる。普通オフィスというのは、こうあるべきというのが決まっていますが、これからのオフィスのあり方を考えた時、SHIBAURA HOUSEではいろいろなことを考えることができると思います。

また、ただひとつの空間を意識しすぎると、そこだけで完結されてしまいがちです。中の繋がりを感じられつつも、そこで完結しないで、外にバラけていくようなもの、そのふたつが一緒になっているのは難しいけれど、SHIBAURA HOUSEではできている。意匠はそこまで凝っていないように見えるけれど、例えば柱が全部スチールの無垢であったり、いろいろなことにチャレンジしています。ですが、さらっと作ったように見える。そういった意味では、とても私らしい建物だと思っています。こだわっているけれど、特殊には見えない。そして形や使い方も含めて、一体感がありつつも、バラける。

I:それを聞くととてもしっくりきますね。

S:そういったことはオフィスだと難しいけれど、SHIBAURA HOUSEはオフィスビルと言ってまとめられない、いろいろな機能があります。

I: 僕らもオフィスビルとしての機能をまず考えるのではなくて、まず機能をひっくり返ることから始まっています。オフィスビルという枠では考えてスタートしな い。結果的にオフィスもある、ぐらい。こんな素晴らしい建物を設計していただいたので、これをどう楽しんで使っていくのかを考えています。でも自分たちだけで使うのではなく、皆で使っていきたいと思います。

妹島和世(せじま かずよ)

日本女子大学大学院修了後、伊東豊雄建築設計事務所勤務を経て、87年に妹島和世建築設計事務所設立。95年西沢立衛とSANAA設立。近作に、梅林の家、犬島「家プロジェクト」、金沢21世紀美術館*、ROLEXラーニングセンター*、ルーヴル・ランス*等。*印はSANAA 第12回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展総合ディレクターを努める。日本建築学会賞、プリツカー賞など受賞多数。