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nl/minato_LGBT 「ゲストと語る夕食会 -クン・ファンデイク氏を囲んで- 」イベントレポート

2017.03.10

BY 木村文香


COC Netherlands代表のクン・ファンデイクさん(右)と国際プログラムマネージャーのブラム・ランゲンさん(左)

3月10日、世界で最も歴史の長いLGBT 団体である COC Netherlands(https://www.coc.nl)のエグゼクティブ・ディレクターであるクン・ファンデイクさんと、国際プログラムマネージャーであるブラム・ランゲンさんがオランダから招聘され、夕食会が開催されました。

まず、クンさんからオランダにおけるLGBTの人々を取り巻く現状と歴史、具体的なCOCの活動についてプレゼンテーションがありました。LGBT に関する活動をされている、または日本の現状に疑問を抱いているゲストの方々が多く、COCのお二人に対するゲストの方々からの質疑も引きも切らず、たいへん活発な意見交換会となり、美味しく彩りが美しいディナーとともに有意義な時間を過ごしました。

オランダの現状とCOCの活動について

COCについてプレゼンテーションをするクン・ファンデイクさん(中央)

LGBTとオランダ、というと、我々日本に住む人はどういったイメージを持つでしょうか。同性婚が認められた国。LGBTに対してとても寛容な社会で、いわゆる性的マイノリティーと言われる方々にとって住みやすい国。
こういった、漠然としたイメージはあるものの、実際どのような活動があって現在に至り、またどのような課題が残っているのかなど具体的に知る機会はなかなかないかと思われます。そのため、今回のお二人の招聘は、LGBTについて先進的であると言われるオランダの現状と、団体の活動内容をじかに伺える素晴らしいチャンスとなりました。

現在オランダでは、私たちが考えているようにLGBTに対する社会の意識は向上していて、実際、同性愛に対してネガティヴ・イメージを持つ人はわずか4%しかいませんし、法律で平等の権利を得るべきだという声も多く、政府からのバックアップも積極的に行われているとのことです。
では一方で、目の前で同性同士がキスをしているカップルを見たら、という質問に対してはどうでしょうか。結果は、嫌悪感があると答えた人数がかなりの割合で増加したそうです。

いったい、何故でしょうか。

それは、論理的に「差別するという事は良くないこと。LGBTの人たちも平等に権利を得るべき。」と理解していても、いざ自分の身近なところで見聞きするとなると、感情の面で理論に追いつかなくなるから、というのが理由だそうです。さらに、違う文化に根ざした移民の人々や厳格な宗教団体からの反発があるのも事実で、問題が複雑化しているのが現状のようです。いじめ問題や自殺についての課題もあります。LGBTフレンドリーな国であるオランダも、このように複雑な問題を抱えているのです。

COCは世界で最も歴史の長いLGBT団体で、これまで数々の業績を残してきました。不条理な法律からLGBTの人々を解放し、平等な権利を得ることに対しても大きな影響を与えてきた団体の一つです。今日同性婚の権利を確立したオランダでは、前述した、感情面での隔たりをなくす、つまりLGBTの人々が世間に「認知される」ことが鍵なのだとクンさんは語っていました。COCはそのような環境をつくりだすために日々奮闘しています。

 ではここで、COCの設立と歴史について少し触れておきたいと思います。

 時は1946年。戦後間もないヨーロッパ大陸では、まだLGBTの人々に対して寛容な姿勢は見られず、特に同性愛に関しては法律上、違法でした。そんな中、LGBTの人々は孤立状態にあり、お互い関わりあうということが非常に少なかったのです。そこでLGBTの人々どうしが繋がれる場をつくろうと、活動を始めたのが、COCでした。
 今となっては何千人ものメンバーとボランティアがいて、オランダだけでなく国際的にも活動の幅を広げています。

 今日では、学校におけるLGBTの生徒たちが自発的に活動できるよう、様々なサポートもしているようです。例えば、学生たちがサークルをつくったり、学校に働きかけたりするために必要なことをアドバイスし、まだまだ学校に存在するいじめやカミングアウトの問題を一緒に解決していこうと取り組んでいます。
また、移民の中にいるLGBTの人たちを、宗教上の迫害から解放し、コミュニティに参加したりカミングアウトしたりと、社会の明るみに出られるよう支援もしています。


プレゼンテーションの後は、お料理も楽しみながら参加者の方と対話。それぞれ普段活動されていることや身近に感じていることも交えて問題意識や課題を共有しました。

当日のディナー。LGBT、及び、LGBTの尊厳や権利運動の象徴ともされるレインボーカラーをテーマとした料理。各色ごとの色と味を楽しめました。 

今回のクンさんのお話から、LGBTの人々が「認知される」社会をつくっていくことが肝心なのだとつくづく思いました。そうなるための学校教育やメディアのあり方とはどんなものかを考える、とても良い機会となりました。日本は法律や認知の面でもまだまだ課題も多くありますが、「多様な人がいてもいいんだ」と思える社会を目指して行動していくことの重要性を深く学びました。


COCのお二人も美味しいお料理に舌鼓を打ちながら談笑。

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